最終更新: Bill Lloyd <wlloyd@mpd.ca>.
訳: はらだ きろう <kiroh@jp.FreeBSD.org>. 11 December 1996.
ISDN 技術とハードウェアに関しては, Dan Kegel's ISDN Page がよい参考になるでしょう.
ISDN の導入手順は, 簡単にいって以下のようになります.
ヨーロッパ在住の方は, ISDN カードの節に進んでください.
ISDN を使って, インターネットプロバイダに(専用線は使用せず), ダ イアルアップ接続しようとしている場合は, ターミナルアダプタの使用を考え てみてください. この方法はもっとも柔軟性があり, プロバイダを変更した場 合の問題も少ないでしょう.
2つの LAN の間を接続しようする場合や, ISDN 専用線を使用する場合 には, スタンドアローンルータ/ブリッジの使用を勧めます.
どの方法を用いるかを決定するには, 費用が重要な要素になってきます. 以下に, 最も安価な方法から, 高価な方法まで順に説明していきます.
著者:Hellmuth Michaelis <hm@FreeBSD.ORG>.
このセクションの記述は, DSS1/Q.931 ISDN 標準がサポートされている国のユーザにのみ有効です.
最近増えてきている PC ISDN カードのうちいくつかは, FreeBSD 2.2.x 以降で isdn4bsd ドライバパッケージによりサポートされています. 依然として開発中ではありますが, ヨーロッパ中でうまく動作しているという報告があります.
最新の isdn4bsd は, ftp://isdn4bsd@ftp.consol.de/pub から入手できます. この ftp サイトでは, ユーザ名として isdn4bsd を使い, パスワードにメールアドレスを使ってログインする 必要があります. ログインできたら pub ディレクトリに移動してください. ユーザー名 ftp や anonymous によるログインでは, 必要なファイルにたどりつけません.
isdn4bsd は, IP over raw HDLC もしくは同期 PPP を利用して他の ISDN ルータと接続できます. 留守番電話アプリケーションも使えます.
Siemens ISDN チップセット (ISAC/HSCX) を使用したものを主に多くのカードがサポートされています. 他のチップセット (Motorola, Cologn ChipDesigns) のサポートは現在開発中です. サポートされるカードの最新のリストは, README を参照してください.
他の ISDN プロトコルを追加したい場合や, サポートされていない ISDN PC カード サポートしたい場合など isdn4bsd を拡張したい場合は, <hm@kts.org> までご連絡ください.
majordomoによるメーリングリストが利用できます. 参加するには, 本文に
subscribe freebsd-isdnと記入したメールを <majordomo@FreeBSD.ORG> 宛てに送ってください.
ターミナルアダプタ (TA) はISDN に対して, 通常の電話線に対するモデ ムに相当するものです.
ほとんどの TA は, 標準のヘイズ AT コマンドセットを使用しているので, 単にモデムと置き換えて使うことができます.
TA は, 基本的にはモデムと同じように動作しますが, 接続方法は異なり, 通 信速度も古いモデムよりはるかに速くなります. PPP の設定を, モデムの場合と同じように行ってください. とくにシリアル速度を 使用できる最高速度に設定するのを忘れないでください.
プロバイダへの接続に TA を使用する最大のメリットは, 動的 PPP を行える ことです. 最近 IP アドレスが不足してきているため, ほとんどのプロバイダ は, 専用の IP アドレスを割り当てないようになっています. ほとんどのスタ ンドアローンルータは, 動的 IP アドレスに対応していません.
訳注: 最近の ISDN ルータでは, IP アドレスの動的割り当てに対応している ものも多いようです. ただし制限がある場合もありますので, 詳しくはメーカ に問い合わせてください.
TA を使用した場合の機能や接続の安定性は, 使用している PPP デーモンに完 全に依存します. そのため, FreeBSD で PPP の設定が完了していれば, 使用 している既存のモデムを ISDN の TA に簡単にアップグレードすることができ ます. ただし, それまでの PPP のプログラムに問題があった場合, その問題 は TA に置き換えてもそのまま残ります.
最高の安定性を求めるのであれば, ユーザープロセスiijPPP ではなく, カーネルPPPを使用してく ださい.
以下の TA は, FreeBSD で動作確認ずみです.
Motorola BitSurfer および Bitsurfer Pro
Adtran
他の TA もほとんどの場合うまく動作するでしょう. TA のメーカーでは, TA がほとんどの標準モデム AT コマンドセットを受け付けるようにするよう, 努 力しているようです.
外部 TA を使う際の最大の問題点は, モデムの場合と同じく良いシリアルカー ドが必要であるということです.
シリアルデバイスの詳細, そして非同期シリアルポートと同期シリアルポート の差については, ハンドブックのシリアルポート の 節を参照してください.
標準の PC シリアルポート(非同期)に接続された TA は, 128Kbs の接続を行っ ていても, 最大通信速度が 115.2Kbs に制限されてしまいます. 128Kbs の ISDN の性能を最大限に生かすためには, TA を同期シリアルカードに接続しな ければなりません.
内蔵 TA を購入して, 同期/非同期問題を片付けてしまおうとは思わないでく ださい. 内蔵 TA には, 単に標準 PC シリアルポートのチップが内蔵されてい るだけです. 内蔵 TA の利点といえば, シリアルケーブルを買わなくていいと いうことと, 電源コンセントが一つ少なくて済むということくらいでしょう.
同期カードと TA の組合せは 386 の FreeBSD マシンの場合でも, スタンドア ローンのルータと同程度の速度は確保できます. またこの組合せでは, ルータ より柔軟な設定が可能です.
同期カード/TA を選ぶか, スタンドアローンルータを選ぶかは, 多分に宗教的 な問題です. メーリングリストでもいくつか議論がありました. 議論の内容に ついては, archives を参照してください.
ISDN ブリッジやルータは, OS 特有のものではありません. もちろん FreeBSD 特有のものでもありません. ルーティングやブリッジング技術に関す る詳細は, ネットワークの参考書をご覧ください.
このページでは, ルータとブリッジにどちらでもあてはまるように記述します.
ISDN ルータ/ブリッジは, ローエンドの製品のコストが下がってきている こともあり, より一般的に使用されるようになるでしょう. ISDN ルータは, 外見は小さな箱で, ローカルのイーサネットネットワーク(もしくはカード)と 直接, 接続します. また, 自身で他のブリッジ/ルータとの接続を制御します. PPP や他のプロトコルを使用するためのソフトウェアは, すべて組み込まれて います.
ルータは, 完全な同期 ISDN 接続を使用するため, 通常の TA と比較してスルー プットが大幅に向上します.
ISDN ルータ/ブリッジを使用する場合の最大の問題点は, 各メーカーの製品間 に相性の問題がまだ存在することです. インターネットプロバイダとの接続を 考えている場合には, プロバイダと相談することをお勧めします.
事務所の LAN と家庭の LAN の間など, 二つの LAN セグメントの間を接続 しようとしている場合は, ブリッジ/ルータの使用がもっともメンテナンスが 簡単で, 努力が少なくてすむ方法です. 両側の機材を購入するのであれば, メー カー間の接続性の問題もないでしょう.
たとえば家庭の LAN や出張所の LAN を本社のネットワークに接続するために は, 以下のような設定が使用できます.
Example 16-1. 出張所 LAN または 家庭 LAN
ネットワークは, 10 Base T イーサネットです. ルータとネットワークの間は, 必要に応じて AUI/10BT トランシーバを使って接続します.
---Sun ワークステーション | ---FreeBSD マシン | ---Windows 95 (別に勧めているわけじゃありません) | スタンドアローンルータ | ISDN BRI ライン
家庭/出張所 LAN で, 一台しかコンピュータを接続しないのであれば, クロス のツイストペアケーブルを使用して, スタンドアローンルータと直結も可能で す.
Example 16-2. 本社 LAN や他の LAN
ネットワークは, ツイストペアイーサネットです.
-------Novell サーバ | | |ハ ---Sun | | | ---FreeBSD | | |ブ ---Windows 95 | | |___---スタンドアローンルータ | ISDN BRI ライン
ほとんどのルータ/ブリッジでは, 別々の二つのサイトに対して, 同時にそれ ぞれ独立した二つの PPP 接続が可能です. これは, 通常の TA ではサポート されない機能で, ルータ/ブリッジ接続の大きな利点です (シリアルポートを 二つもつ特殊(そして高価な) TA では可能です). チャンネル割り当てや MPP などと混同しないでください.
これは, 大変便利な機能です. たとえば事務所で専用線インターネット ISDN 接続を使用していて, 別の ISDN ラインを購入したくないとします. この場合, 事務所のルータは, 一つの専用線 B チャンネル接続(64Kbs)を維持しつつ, 別 の B チャンネルを他の用途に使用することができます. たとえば, 他の場所 とのダイアルイン, ダイアルアウトに使用したり, バンド幅を増やすために, インターネットとの接続への動的に割り当て(MPP など)に使用したりすること が可能です.
またイーサネットブリッジは, IP パケットだけでなく IPX/SPX などすべての プロトコルのパケットを中継することが可能です.